新しいタイプの組織は、今までの組織とは明らかに、異なっている。その効果性、可能性も含めて、今後の組織とリーダーシップ・マネジメントについて考えみたい。
実は、次世代経営研究会を始めたのも、今までのリーダーシップ・マネジメント理論が、実態に合わなくなっているのではないか?と感じ始めたからだ。
今の組織の形は、業種・業態の違いはあるものの、工業化社会を前提としている。上下関係、指揮命令系統がある。昨日書いたコンフロンテーションに象徴されるように変革のリーダーシップが求めれれている。しかし、多くの日常の仕事は、従来型のリーダシップ・マネジメントの考え方で廻っている。
ところが、この上下関係・指揮命令系統を前提としたリーダーシップ・マネジメントが、若い世代には通用しない。上が指示をしたからといって、従来のように、動かなくなっているのである。
こうした若い世代を、工業化社会モデルの組織観がある経営者や管理者は、「俺様社員」と名づけ、自分達の若い時と比べて「生意気だ!わかっていない!」と言う。そして、学校や家庭教育ができていないと嘆く。確かに、一面だけをとらえれば、言わんとすることはわかる。しかし、本当にそれだけだろうか?
四捨五入すると50歳になる私でさえ、違和感を感じるようになった。トップから指示を受けても、何となく従来のように「わかりました!」と、言えなくなっているのである。自分でも何故だろう?と考えてみた。まだ、結論は出ていないが、一つには、工業化社会からネットワーク社会への移行期であり、両方のリーダーシップとマネジメントが混在している実態が、無意識に違和感を感じさせているのだろう。
環境変化による不確実性や複雑性が増し、企業や個人が求めるソリューションに、組織の一部の人間では解決できなくなっている。最近、盛んになっているM&A、コラボレーション、オープンイノベーションは、こうした環境に起因していると思われる。現在の状況下では、従来の組織の括りを越えて、必要な時に必要な知識・スキルを持った人が集まる方が効果性が高い場合が多いのでないか?
又、インターネット、更にブロードバンドのインフラの整備により、距離と時間を無くし、組織を越えたネットワーク社会を進展させた。
私自身も、複数のSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)に参加し、顔も知らない方とコミュニケーションをとり、時折、「〇〇について、知っている人、教えてください」とやっている。そして、問題解決されたことも多い。
若い世代であれば、私の世代よりも、更に、所属組織を越えた複数のネットワークでのコミュニケーションが当たり前なのではないか?と予想する。閉じられた組織の中での上司からの指示よりも、SNSの中で的確な答えが得られたり、自分のことを心理的に理解してもらえたりといったこともあるのかもしれない。(SNSの在り方そのものについては、検討が必要であると思うが・・)
以上のような中で、トップダウン・ボトムアップや、20年程前、読んで素晴らしいと感じたが、野中郁次朗さんが提唱したミドルダウン・ミドルアップの考え方は、工業化社会での組織運営の中でのリーダーシップやマネジメントを前提としているのだろうと改めて思う。
ネットワーク社会で機能するのは、ヒエアルキーや中心のないコラボレーションを前提としたリーダーシップやマネジメントだと思う。そして、No management is best management は、故本田宗一郎さんの言葉であったと記憶しているが、ブラジルのセムラ社やグーグルなど、注目される企業の運営は、まさに、No management is best management である。スパン オブ コントロールといった言葉は、もはや、工業化時代の遺物かもしれない。大きな変化の予感させられる今日この頃であるが、100年前にできあがったマネジメントの考え方を、まさに、問い直す年になると思う。
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