中小企業白書によると1年間に廃業する企業、約30万社のうち、7万社が後継者難で廃業している実態が分かります。この、7万社の廃業で失われる雇用は、15万~25万人に上ることが推計出来ます。中小企業に蓄積された技術やノウハウの喪失を考えると、国家の基盤を揺るがす事象であることは前回も少し触れました。ではその対策はどうすればよいのか。これまで、事業承継をテーマに調査研究をした結果、事業承継成功には3つの切り口から対策をとることが必要だと結論づけました。その3つの切り口とは①事業の魅力②後継者の資質、能力③制度、法律対策です。今回はその1つ目について述べてみます。
事業に魅力がなければ、そもそも誰も継がない?
「事業を誰かに継いで欲しい」と経営者は考えています。しかし、今後の経済環境を鑑みると「子息、社員に継いでくれ」とは言えない。「長引く景気低迷で激化する競争等を考えると継がせられない」。さらに、後継者世代は、戦後・高度経済成長時代に創業した、現在の経営者世代と気質が異なります。世代間のギャップが、より事業を引き継ぐことをためらう要因の一つの様です。ただし、継ぐ側からすれば、事業そのものに将来性がある等、継ぐこと自体に魅力がなければ継ぎたいとは思わないでしょう。
では、この環境下どのように魅力ある事業を作ればよいのか。そのヒントが昨年末に閣議決定された、「新成長戦略」に隠されています。その中身は、国家の進む方向を明確に示し、ビジョンをもとに実行段階まで落とし込んだ具体性の高い内容になっています。経済政策が無策と言われる民主党政権ですが、中小企業にとっては大きなビジネスチャンスが到来する予感がします。
つまり、国の政策が大きく舵を切ることが予想される以上、中小企業は事業を見つめ直す勇気を持って、事業モデルの再構築を図ることが必要です。経営革新に成功した企業だけが生き残れるのは、日本経済新聞の人気連載『200年企業』でも良く理解できます。現在では、助成金等で専門家と新規事業を創造することや、大学と共同研究で商品開発することが可能になっています。やる気のある企業には、国も積極的に支援を行う方針です。不安にあえぎ、事業承継を後ろ向きに考えるより、少しでも前向きに事業の魅力を高める努力をしてみましょう。
水沼 啓幸
None can doubt the veracity of this arlitce.
投稿情報: Jack | 2012/04/27 22:44