いまだに成長を続けるマクドナルドの強さの秘密について考えてみます。2000年代前半には売上が落ち込んだマクドナルドでしたが、現在は、好調に推移しています。
デフレ、BSE問題などの社会環境、健康志向の高まりなど消費者ニーズの変化と、逆境の中で成長を続ける日本マクドナルドの強さの源泉はなんでしょうか。
上昇に転じた時期の取り組みとして、メイドフォーユーの取り組みといえます。従来、マクドナルドでは、作り置きしていたハンバーガーを、注文に応じて販売していました。日本マクドナルド社長に就任した原田氏は、新たにメイドフォーユーのスタイルを生み出しました。文字通り、お客さまの注文を受けてからハンバーガーを作ります。作りたてのハンバーガーを店頭で販売しています。
競合であるモスバーガーも店頭で注文を受けてから作るスタイルを確立しています。差別化として、マクドナルドではバンズに肉やレタスを挟んで、包装するまでの時間を50秒と定めています。モスバーガーほど顧客を待たせることなく提供できるのです。
短時間でつくるオペレーションを確率するために、ハード面、ソフト面から強化が加えられました。
ハード面の強化は、システム投資です。レジで打ち込んだ情報が、厨房に設置したモニターに転送され、作り手はモニターを見ることで注文内容を確認できます。注文を伝達する手間を省くことができます。
ソフト面での強化は、細かな分業制です。レジ、飲み物担当者、フライドポテトの担当者、ハンバーガーをつくる担当者と、細かく分業した上で、それぞれ綿密に作業時間を設定しています。細かな作業分担により作業効率が上がり、適正な時間を設定しているために作業時間ロスを防ぐことができます。
日本マクドナルドの強さの秘密として、これらの二律背反することであっても顧客満足に繋がることならば目標に掲げ、科学的な努力を惜しまないことが挙げられます。根幹には、顧客に価格以上の価値を提供するという意思があることは言うまでもありません。
【参考資料】
原田泳幸著「日本マクドナルドの社長が送り続けた101の言葉」かんき出版(2008)
河野英俊著「マクドナルドに学ぶ集約⇒リーピート⇒売上アップの法則」ぱる出版(2010)
近代セールス7月15日号「徹底解明!勝ち組企業の「経営力」第7回日本マクドナルド」岩瀬敦智(共著)(2010)
岩瀬敦智 Iwase Atsutomo
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