法律、制度的な対策
これまで、「事業の魅力度」「後継者育成」について述べてきましたが、今回は3つ目の視点として「法律制度的な対策」についてご説明いたします。
先日お会いした社長さんに「自社株の評価をしたいのだが誰に頼んで良いのか分からなかった」、さらに業績の良好なその会社は「唯一の悩みが、事業承継についてだ」と続けました。多くの会社が事業承継で悩んでいますが、その悩みは、自社株の評価、相続税の試算、相続税支払い等がほとんどです。しかしながら、これまで説明してきた視点を考えるといかに「法律、制度的な対策」が完璧であっても、後継者がしっかりしないと事業は上手くいかないことをご理解いただけると思います。しかし、世の事業承継対策はイコール相続対策と認識されている現実があります。
なぜ、相続対策が事業承継対策となってしまうのか
その理由を考えてみると、一つ目に日本の税制が非常に複雑で分かりにくいことが挙げられます。それと、二つ目に中小企業でも優良会社では自社株の評価が大きくなり、莫大な税金を支払わざる得ない現状が挙げられます。ただ、そのテクニックにしても数多くの手法や仕組みがあり、なかなか一筋縄ではいかないでしょう。下記は私が、事業承継の現状分析する為に使用している簡易診断キット「事業承継ドック」の中の一部です。
・創業一家で株を66.7%以上所有していますか
・内部留保の額は自己資本以上に積み上がっていますか
・創業者一族以外の株を買取出来ますか
・相続税の評価額を試算していますか
・承継計画書を作成していますか
・相続対策の資金をプールしてあるか
・銀行の債務額、担保評価額を後継者と共有していますか
これ以外にも、さらに多くの事業承継をクリアーする為の法律や制度は存在します。
早く決めることの大切さ
「経営者が会社をどうしたいのか」によって、株の持分の数値は変わってくるでしょうし、相続対策の資金調達の方法もいろいろ変わってきます。結局、相続が目的になってしまいテクニックを駆使し、節税には成功しても肝心の事業が数年後に左斜めになっては、節税の金額など瞬時に吹っ飛んでしまいます。そうです、事業承継対策でまず大切なのはお金よりも、「どんな事業を誰に引き継ぐか」を早く決めることです。年齢が70歳を超えて対策を考えても、場当たり的な対策になってしまい、相続対策も満足にとれないでしょう。対策を取る時期が少しでも早ければ、事業承継は様々な可能性が残されます。
結論として、経営者には最大の使命として後継者を育成し、引き継ぐ意義のある事業を常に模索していくことが求められています。後継者育成や10年後、20年後のビジョンを描かずにお金の効率のみを求める事業承継対策は、いずれ自分の社員やその家族を不幸にする事業承継対策になってしまう要因になりうるでしょう。「法律、制度的対策」は事業承継に必要な対策ですが、これまでの2つの視点を踏まえなければ最適な対応策は取れないということになります。
3回に分けて事業承継に必要な視点を説明してきましたが、次回からは、実際に私が直面した事業承継の事例を交えてこれまでの話をさらに掘り下げてみていきたいと思います。
That's what we've all been wtiiang for! Great posting!
投稿情報: Sarah | 2012/04/27 20:56