前回は法人営業のプロセスと、新規営業のステップについて考えた。もう一度新規営業のステップについて確認してみることにする。
1.顧客のターゲッティング
2.ターゲッティングした顧客と接点を作る
3.商談を通じ、最初の注文を獲得する
このうち、特に難しいステップはどこであろうか?2の「ターゲッティングした顧客と接点をつくる」ということについては、各企業でDMやテレアポ、メルマガ発行、セミナー開催、紹介キャンペーン等のように、様々な工夫がなされている。セミナー開催の手法は、最近は色々な本が出版されているので、目にされたことがある方も多いかもしれない。とはいえこれらは全て、消費財のマーケティングの知識を応用して使えるので、法人向けが特に難しいということはないだろう。1の「顧客のターゲティング」についても2の接点作りと同様に消費財のマーケティングの考え方があてはまる。
このように考えると、法人営業のステップの中で最も難しいと思われるのは、3の「商談を通じ、最初の注文を獲得する」というということになるだろうか?注文の獲得においては、顧客に商品購買の意思決定をして貰わなければならない。しかしこの商品購買の意思決定の仕組みが、一般顧客と法人顧客では異なるのである。その違いは以下の通りである。
・顧客際の意思決定者が複数存在する
・意思決定の際には、経済合理性が優先される
新規で法人顧客を獲得する上では、この二つの特徴に留意する必要がある。新規開拓の場合は、コンタクトした窓口の担当者がどれだけの意思決定権限を持っているのか、担当者の背後にはどのようなキーマンがいるのか等、既存顧客であれば、当然分かっている事情を、手探りで探りながら、営業活動を進めなければならない。実際営業に行ってみて、「もうすぐ受注が取れそうだな」と思っていたら、「~部の部長に反対されました」や、「購買部門ではじかれました」といったことは、法人営業を経験している人であれば、何度か経験したことがあるはずだ。私自身も、見込んでいた受注がするりと滑り落ち、上司の小言を貰ったことが、苦い思い出として思いだされる。
ということで、次回は法人営業における意思決定の構造、アプローチ方法について考えてみようと思う。
渡邉仁志
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