モノを買うことは楽しく、モノを売ることはもっと楽しい。小売店は、買う楽しみと売る楽しみの双方を追求する場です。私は、買う空間・売る空間を独自に設計して、消費者が楽しく納得のいく買物が出来る空間を提供することが、小売店の役割だと考えています。そのために、小売店は、ストアコンセプトを定め、それに従って品揃え、接客、店舗内装、プロモーションなどを組み合わせて考えていく必要があります。
小売業界は、1970年代迄は百貨店の時代、1980年代は総合品ぞろえスーパー(以下、GMS)の時代、1990年代以降は、コンビニエンスストア(以下、CVS)の時代と言われてきました。そのCVSも、2000年代後半になり、既存店売上高が頭打ちで、成長が鈍化している状態です。2000年代後半は、アパレル業界のSPAのように、製造から小売までを強力にコントロールできる(サプライチェーンマネジメントを実行できる)小売業が、堅調に推移しています。
近年、消費者の個性化やライフスタイルの多様化に伴い、消費シーンやニーズの多様化が進んできていると言われています。また、ニーズの短絡化が進み、商品のライフサイクルが短くなっていると言われています。皆さんも実感しているのではないでしょうか?それらの外部環境の変化に対応するために、小売店も店頭で消費者ニーズを捉え、店舗戦略に取り入れていく必要があると言われています。そのために必要になるのが、店頭で情報を収集する能力と、収集した情報を活用する能力です。顧客ニーズを正確・迅速に捉えて、商品政策・店舗設計・レイアウト設計・プロモーション計画などに反映させることで、顧客支持を得られると考えられるからです。この考え方は、小売業界でも久しく議論の中心にあるのですが、仕組みとして実践できている企業は少数ではないでしょうか。
店頭で情報を収集する能力は、情報収集の仕組み構築、販売員の能力向上、データ管理方法の徹底など様々な切り口で考えられます。一方で、収集した情報を活用する能力にも、販売員への権限移譲、販売員の能力向上、データ活用方法の徹底など、様々な視点があります。更に、ベースとしてチャネルをコントロールする力や情報化が必要になります。これらの要素は、大規模小売業だけに当てはまると考えられがちですが、中小小売業も同様に当てはまる要素だと思います。
このブログでは、いま挙げた論点も含めて「店頭の情報を収集する能力」「店頭で得た情報を活用する能力」を幅広く考えながら、結果的に小売業界を進化させる方向性や方法を探ってみたいと思います。具体的には、毎回、不況下にあっても成長を続けている小売業の独自の取り組みを考察していきたいと思います。
岩瀬敦智
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