MBO(Manejemento By Objective)目標管理を導入している企業は多い。そして、私個人では、評価との連動についてはあまり好みではなかったが、実際、目標管理と評価を連動させたところが以外とうまくいっていないといった企業のアンケートデータを見ると、やっぱりか!と思ってしまう。(アンケートデータについては、マテリアル人事労務管理「新版」に詳しい。
いずれにしても、多くの企業で目標管理が導入されている。シュレイの方針管理的な色彩が強いものから、マクレガーのメンバーの主体性を重視するもの、ドラッカーの「目標を設定すれば、目標そのものがマネジメントしてくれる」といった考え方まで、多少の違いはあるが、基本的には、全社目標をブレイクダウンして、PDCA(計画-実行-検証-改善)といったマネジメントサイクルを回すことには変わりがない。
MBO目標管理であるが、どの位、うまくいっている企業があるのだろうか?もちろん、理屈としては、全社目標を部門目標 課目標 個人目標と連鎖していくことはその通りであろう。しかし、個人の自主的な運営を謳いながら、実際は、個人の思いの反映させるのは難しいのではないか?と感じる。まして、評価と連動してしまうと、その公平性に目がいきがちになり、目標そのものが高すぎた低すぎたといった内向きな話になる。さらに、部門を越えて目標の難易度、貢献度その他の揃えて、誰にも納得がいくように評価するのは不可能でないかと思う。
好況時に比べて、転職が厳しくなっているが、終身雇用が崩壊し、情報化によりフラット化が進む中で、従来のような組織への忠誠心は無くなり、個人主義的になっていく流れは止まらないだろう。そうした中で、企業としても、社員が入社したのち、育った頃に転職されたのではたまらないが、引きとめは正直難しい。
こうした背景を踏まえてかどうかはわからないが、ナレッジマネジメントで有名な野中郁次朗氏のグループが、MBB(Manegement By Belief:思いによる経営)といった考え方を提唱した。
MBBは、組織と個人の目標を設定するといった点では共通であるが、管理者と個人の面談の際、「価値観」について対話し、個人のやりたいことを実現する「場」をつくり、個の思いを集約し、組織の知として共有していくいったボトムアップベクトルが重視される。
伊奈食品工業の塚越会長などの実務家は、「いい会社をつくりましょう。」と言い、法政大学院 嶋口充輝教授は、随分以前からアンビジョンといった表現を使っているが、近い考え方だろう。従来の個人を統制する手段が通用しなくなった今日、マネジメントの効果性を高めていく上での可能性を感じる。
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