昨年の国会で、渡辺元行政大臣が自民党でただ一人、民主党から提出された解散決議案に賛成し注目を浴びたのが、クリスマスイブだったので、日にちを鮮明に覚えている。あっという間に1年が過ぎたのか?と、つくづく時が経つ早さを感じさせられる。自民党という組織を敵に回し戒告処分も受けた。その後、渡辺氏は新党を立ち上げることになる。組織で長く働くものとしては、絶賛するものと、やる過ぎだという人といろいろ意見は分かれるだろう。
いずれにしても、リーダーシップは、組織や集団を動かす上で、不可欠なものであるので、整理してみたい。
リーダーシップについての検討は、20年位前までは盛んであったが、その後は、名前は変えてはいるが、基本的に同じ主張の繰り返しではないかと思う。
歴史的な流れから、リーダーシップ論を整理してみたい。多少、書籍によって、違いがあるが、概要としては以下の通りである。(若干の違いや詳細は省略)
偉人的アプローチ
今でも、雑誌で特集しているのを、時々見かけるが、信長、秀吉、家康といった戦国武将や、最近であれば、オバマといった偉人の特徴を洗い出し、〇〇式リーダーシップと整理したものである。
特性的アプローチ
リーダーに求められる特性の共通項を探したが、例外が必ずある。
行動論アプローチ
リッカート、ブレーク&ムートン、三隅九大教授(当時)は、パフォーマンスとモラールの2軸を置き、両方の行動を取っているマネジャーを優秀マネジャーとした。ところが、現所属会社でのセミナーで、ジェイ・ホール呼んだ際、面白いデータを持ってきてくれた。必ずしも、パフォーマンスやモラールを高めているマネジャーではなく、両方に対して関心が低いダメマネジャーが一番多かったのである。
状況論的アプローチ
現在の主流であると言われるが、ハーシー&ブンチャードは、部下の成熟度によって、リーダーシップスタイルを合致させなくてはならない。部下の成熟度が高い場合は、任せる。部下の成熟度が低い場合は、コントロールするというように使い分ける必要があると主張した。
ちなみに、ジェイ・ホールが、職場の状況を調査したところ、ハーシー&ブンチャードの主張と合致し、ダメマネジャーと言われたマネジャーの部下は経験者が多かったので「ああしろ!こうしろ!」と関わる必要がなかったのである。
管理者研修の中では、、上記のようなことを学習する。更に、コミュニケーションの面では、コンセンサス実習を行い、論理的納得と心理的納得がないと、職場で実行されないとされる。
ハーシー&ブランチャードは、部下の成熟度に焦点を当てたが、世の中の動向といった状況もある。現在の状況は、多くの企業がビジネスモデルそのものを見直さなくてはならない変革期である。そうした状況の中では、コンセンサスを得られる方がまれだろう。つまり、当然、何かを変革しようとすれば、賛否両論が出る。
そうした場合は、無理してコンセンサスを目指すのではなく、徹底的に議論を闘わせなくてはいけない。あえて行う徹底的対決をコンフロンテーションという。
コンフロンテーションは、組織開発の手法の一つであるが、変革期には、意見の対立を恐れない強力なリーダーシップが求められている。
そういった意味で、コンセンサスを取るようなリーダーシップも、まさに、状況による。これからのマネジメントは、コンセンサスをファシリテーションできるスキルと同時に、コンフロンテーションできる勇気を持ち合わる必要がある。調整ばかりでは、思いきった変革はできないからだ。
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