官僚制組織が批判を受け、これからの組織の在り方として、ネットワーク型だという主張が多い。「フラット化した社会」「フラット化した社会のマネジメント」をはじめとして、この最近10年で出された書籍は、概ねネットワーク組織やバーチャル組織についての賞賛や可能性を取り上げている。官僚は、政治の世界でも、悪の象徴のように言われ、又、実際、お役所仕事といった批判的な意味合いの言葉があるように、いいイメージがない。
しかし、本当に、官僚制組織がダメで、ネットワーク組織がいいのだろうか?ということで、両方の組織を対比しながら考えてみます。(・∀・)つ
ピラミッド型の長所は、トップの考えを隅々まで行き渡らせることであり、一方、ネットワーク型の長所は、状況に応じた、柔軟な対応な対応ができることは、なんとなくイメージできるところだ。
更に、もう少し細かく考えてみると
情報量は、ネットワーク型に軍配が上がる。
ピラミッド型⇒2人:1本、3人:2本、・・・5人:4本、n人:n-1本
ネットワーク型⇒2人:1本、3人:3本、・・・5人:10本、n人:n(n-1)/2本
組織に参加する人数が増えるに連れて情報量に圧倒的な差が生じる。
更に、情報の流れもピラミッド型では、コミュニケーションラインが存在するのに対して、ネットワーク型では、参加者が縦横無尽なコミュニケーションとなる。
ピラミッド型では、明確な組織構造が存在し、責任の所在と権限も明確であるのに対して、ネットワーク型では、リーダーの役割は分散するだけでなく、リーダーそのもの選手交代するし、責任の所在や権限も不明確になりやすい。
組織をまとめるための統制も、組織では必要になるが、ピラミッド型では職務権限によるコントロールであり、基本的には、上位からの指揮・命令によるものとなる。一方、ネットワーク型は、価値観による統制にせざるを得ない。個々人の判断による自律的な行動が必要であり、そのためには、最低限のガイドライン等が設けられないとバラバラになる。
ネットワーク組織にはよい部分もありそうだが困難さも伴うと予想でき、簡単にピラミッド型からネットワーク型への移行が有効とも限らない。とすれば、どのような組織に、今後なるのだろうか?
例えば、オルフェウズはリーダーなき組織として、少し前に注目をあび、話題になったが、そうした組織が成り立つには、前提があるだろう。
組織を抜本的に変えるといっても、完全にネットワーク型に変えることは困難であり、望ましくないものであるし、既存の組織の秩序が維持されず、デメリットの面が出ることも考えられる。又、そうしたことを考えていくと、単純に官僚制組織から、ネットワーク型組織への移行は、既存の仕事を回しながらでは考えにくい。
つまり、官僚制組織vsネットワーク組織ではなく、官僚制の要素とネットワーク組織の要素をうまく融合することが必要になると思う。具体的には、両者の長所をいかに組織に取り込み、組織としての秩序と自由度や自律性とのバランスを取っていく、いいとこ取りになるのが、現実的だと思うがどうだろうか?
安易に、又、本を売るため?のネットワーク組織絶賛は、?である。(⌒∇⌒)
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