前回の記事では、WEBサイト制作業界は「元請け」と「下請け」が存在する典型的なピラミッド構造の業界であることを紹介しました。この構造は基本的な部分では現在も変わっていないと思いますが、先日あるWEBサイト制作会社を訪問し、最近の状況をヒアリングしたところ、この構造とは違う「中抜き」が発生していることを伺いました。社員数10数名であるその会社に、大手企業から直接提案依頼があったというものでした。広告代理店や大手WEB制作会社などの「元請け」を通したものでなく、むしろ広告代理店や大手WEB制作会社が競合というものだったそうです。
これは単なる偶然ではなく、何か理由があると考え、4つほど仮説を考えてみました。
1つめは、WEBサイト担当者のリテラシーが向上したから。一昔前までは、WEBサイトの制作というものは得体のしれないもので、WEBサイト担当者たちでは善し悪しの判断が付けられないことから、会社としても信頼のおける「元請け企業」にまとめて発注していた。しかし、今はWEBサイト担当者もリテラシーが向上してきたことで、成果物の品質のチェックができるようになり、マージンを払ってまで「元請け」を通す必要がなくなったのではないかと考えられる。余談ではあるが、前職で担当していたお客様の中には、SEO対策におけるタグの使い方にまで注文をつけてくるような上級者もいらっしゃいました・・・。
2つめは、「下請け企業」とWEBサイトを発注する大手企業を結ぶ媒体が発達したからです。『WEB制作会社総覧』、『WEB制作会社年鑑』、『WEB FLASH』に代表されるような紙媒体やビジネスマッチングサイトのようなWEBの媒体などが多く出現している。マッチングサイトは微妙ですが、紙媒体のほうはそれなりの提案依頼や見積もり依頼が来るそうです。
3つめは、WEBサイトがお試し発注がしやすい媒体だからです。これは、今や1社につき1サイトという時代は終わり、1社で数種類のサイトを運営することが当たり前になってきており、細かい単位でいえば1キャンペーンにつき1サイト立ち上がるくらいの率でサイトが乱立してきているのが現状です。そうなると、1サイトごとの規模は小さくなり、今まででは発注したかったけど、できなかったような業者にトライアル的に発注することができることを意味している。
4つめは、不景気だから・・・。安易すぎるかもしれませんが、代理店に丸投げできる予算がなくなってしまったために「下請け企業」へ直接発注せざるをえなくなったという会社もあるかと思います。
by T.ISHIDA
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