昨日は、あまりにも不愉快なことを聞いて、思わずブログに書いてしまったが、経営理念について引き続き考えたい。
多くの企業が、環境変化によりビジネスモデルのリセットが必要になっているが、更に、経営理念までも踏み込んで検討する企業も増えている。
Panasonic(旧松下電器産業)の中村会長は、社長時代に「経営理念以外は、聖域なき見直しをする」と改革を断行したが、国民的にも人気がある名経営者の松下幸之助さんが創った事業部制他を見直したのは、想像を絶する決意があったと思う。こうしたことができたのは、中村会長にしっかりとした理念があったからに他ならない。
仕事柄、多くの経営者にお会いする。売上や利益のことしか興味がない方はさすがに少数であるが、短期志向が強いと思える経営者の方は結構いらっしゃる。しかし、あまり、短期志向になると、理念とはかけ離れた経営になり易い。
以前、慶応大学院 小野桂之助 教授に、直接、お話をいただく機会があったが、思考と配慮の時間的空間的拡がりが重要であるとおっしゃっていた。
小野先生がおっしゃる拡がりとは、
・自分→家族→友人→社会→人間といった配慮の空間的拡がり
・自部門→他部門→会社→取引先→業界→世界といった思考の空間的拡がり
・日→週→月→年→世代→世紀といった時間的拡がり
である。
そして、自分・自部門・今日だけしか考えないことを「ミーイズム」と言われていたが、まさに「利」が優先なのである。
自分のことしか考えないから、食品偽装しても平気なのである。
今のことしか考えないから、子供たちの世代の税の負担を考えないのである。
そうした「利」を優先した経営は、一時的に儲かったとしても長続きしない。ちなみに、私の知人で理念経営と業績の関係を研究しているが、どの位の時間で結論付けるかは重要な視点であると思う。
経営者に必要な資質としては、思考や配慮の拡がりをどの位の広さや長さで考えることができるかであると思う。そして、経営理念が重要だ!と言いながら、本音は経営利念である経営者のことを組織の構成員は信じない。敏感だ!組織の構成員は、経営者が言っていることではなく、やっていることから学ぶ。
責任のある立場である経営者は、経営理念を言うだけでなく、実践する人だとつくづく思う。
著者:小野 桂之介
販売元:東洋経済新報社
発売日:2005-05-13
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